北欧ダダイスト

スウェーデン留学していたログ

『ガザの美容室』が生々しい

 

 

今のバイト先が映画館なんだけど、紺屋の白袴というか、ヒマになっても「映画に行こうかなぁ」っていう思考にはなかなかならない。

 

別に映画が嫌いというわけではなくてむしろ好きだからバしてるわけだけど、やっぱり「バ=映画館」になると、「映画館→バ=労働」っていうイメージがもう、無意識に沁みついている。これはエンタメ系バイトで働く人の宿命・・!

 

ひとつ助言があるとすれば、映画好きだから映画館でバしたい!っていう人は労働としての映画館を想像したほうがよいぞ、ということ

ここまで言っといて自分は特に問題ないけどね、なんだかんだ楽しいよ映画館

 

 

そんなバ学生も長い夏休みに入ったんで、映画。してきた。

今回行ったのは前も紹介した、UPLINK渋谷。映画館以外にもギャラリー、カフェなんかも併設されている複合施設型のミニシアター。

ちなみに学生だと一本1,100円ていう良心的な価格設定。シネコンよりだいぶ安い。

 

何作品か上映している中で、選んだのはガザの美容室

 

 

一緒に観に行った友達が「中東で戦争を経験してるんだよね~」っていう結構キワい経験を、昨日友達とランチしたんだよ~くらいのノリで話す人なので

なので

この映画観ようかと決まった。俺が「うん、そうしよう」と答える形で。

メンタルが異常にタフい人もいるもんだ。

 

 

 

概要

ネタバレはしませんよ

 

ガザの美容室』は公開2015年、製作国はパレスチナ・フランス・カタール

ざっくりとした内容を公式HPから

 

パレスチナ自治区、ガザ。クリスティンが経営する美容室は、女性客でにぎわっている。店主のクリスティンは、ロシアからの移民。美容室のアシスタントのウィダトは、恋人で、マフィアの一員アハマドとの関係に悩んでいる。亭主の浮気が原因で離婚調停のエフィティカールは、弁護士との逢瀬に向けて支度中。戦争で負傷した兵士を夫に持つサフィアは、夫に処方された薬物を常用する中毒者だ。敬虔なムスリムであるゼイナブは、これまでに一度も髪を切ったことがなく、女だけの美容室の中でも決してヒジャブを取ることはない。結婚式を今夜に控えたサルマ、臨月の妊婦ファティマ、ひどい喘息を患っているワファ、離婚経験のあるソーサン・・・それぞれの事情をもつ、個性豊かな女性たち。

 

戦火の中で唯一の女だけの憩いの場で四方山話に興じていると、通りの向こうで銃声が響き、美容室は殺りくと破壊の炎の中に取り残された・・・。

 

出典:『ガザの美容室』公式HP

 

この映画を監督したタルザン&アラブ・ナサール兄弟は、ガザ生まれ。

彼らは、虐げられるパレスチナの女性を描くのではなく、彼女らの「生」の部分、つまり日常を描くことをコンセプトにしたそう。

 

http://www.uplink.co.jp/gaza/ex/img/index_img-01.jpg

画像:ガザの美容室公式HP

 

パレスチナ・ガザと聞いてイメージする「非力な市民像」は、戦争中であっても常に人生を選択し続ける市民の実像とはかけ離れている。

 

一方的な被抑圧者としての「弱さ」を描くのではなく、不条理な中でも日常を生きる「強さ」にフォーカスを当てた作品であるといえる。

 

 

ガザって

 中東にあまり興味がなくて「そもそもガザってどこ?」っていう方ももちろんいらっしゃるであろう

 

しかし

この映画でガザの背景知識はほとんどいらない。

とりあえずガザっていうのは、中東のある地域で、歴史的な不条理によってアラブ人が「押し込まれた」場所、という認識があれば問題ない

 

詳しく知っていればもちろんいいとは思うんだけど、この映画は「女性がどう生を選択していくのか」にフォーカスが当てられているからあまり背景知識が活きることもないと思う

 

 

孤立とストレス

基本的にずっと美容室を舞台に女性たちがあーでもないこーでもないと言い合う内容。

もともと緊張感のあるガザ地区の美容室にそれぞれの問題を抱えた女性たちがやってくるんだが、店員はそんな面倒なお客全員に対応できるわけもなく、おまけに外では戦闘が始まり美容室は完全に取り残される。

 

つまり、最初から最後までかなりストレスフルな内容。

実際映画観てる途中に若干チック症になりかかった(大丈夫だけど

 

緊張感あるなかで不毛なやりとりを眺め続けるというのは、正直結構イライラするもんですな

 

しかし、これこそがおそらくこの映画の醍醐味だと思う。ストレスの追体験

普通の戦争映画であれば社会問題を内在させ、事実関係が重んじられる傾向にある。

この映画では史実関係というより、戦時下の日常をメインにしているからこそ、政治的な背景はほとんど皆無ながら、高度のガザ・追体験ができてるんじゃないかなと思った。

 

劇中に出てくる女性たちはみんなそれぞれに個性が強いけど、ひとつみんなに共通していることがある。それは、冷たいくらい現実的な目線を持っているということ。

それはほぼ間違いなく、イスラエルによる反感、パレスチナを仕切る勢力に対する従順の拒否、争いを選ぶ男たちへの諦観、そういった彼女たちを取り巻く環境がそう「させた」。

彼女たちから発せられた現実的で諦観的な言葉は、その環境を追体験することによって深く共感せざるを得ない。

 

 

まぁ確かに、このワケワカンナイ状況に置かれたら、こうも夢見なくなるよね。

ラストシーンも、かなりのオープンエンド。どう解釈していいのか。

 

 

 

興味あるな、というスタンスで

ストーリーがあるのかといわれれば謎だし、じゃあ社会派の内容なのかといわれればそれもしっくりこない。

先述したように、『ガザの美容室』「追体験」をコンセプトにした映画だとおもう。

 

自分は勝手に『ガザの美容室』っていうタイトルから結構ストーリーベースなのかな~って想像してたから、「あれ?イメージと違うな」とはなった。

だから、求めるものによっては鑑賞者の評価が分かれるんじゃないかなと思った。

 

でもなんだかんだ、現場のリアルを知るにはこういう日常を切り取る感じの映画が一番なんじゃないかなー。

 

 

興味あるな、と思った方は、アップリンクさんへ。

 

 

 

www.uplink.co.jp