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北欧ダダイスト

スウェーデン留学ログ

映画「君の名は。」と、海外生活で気がついた日本語の美しさ

スウェーデンの上映会で、映画「君の名は。」、見ました。ううこれは素晴らしい。アニメ映画に対する偏見が完全に消えた。

グラフィックもRADWIMPSもストーリーも、妥協を一切感じないクオリティーで、それらが相まって、映画としての爆発的な威力を発していました。

 

少しネタバレになるかもわかんないので、映画観ていない人は是非、映画館へ

 

www.youtube.com

 

東京、その対極にある田舎の風景、どちらも美しすぎるくらいの描写。自分は都会にも田舎にも住んだことがあって、映画中の風景描写をみて故郷へのノスタルジアがモーレツに湧いてきた。

ストーリーももちろんだけど、この映画を見終わって一番感じたことは、

 

日本帰りて

でした。笑

 

ここまで高いクオリティーの映画ができた背景って、もちろん新海監督とそのスタッフさん方が素晴らしいからなんだけど、その彼らを生んだ日本の「土台」みたいなものがあると思うんだよね。

 

あああ抽象的すぎる。。

 

世界的に見ても日本はアニメの聖地であり、最大輸出国。1億を超える人口、高い技術力が生み出した、新しい文化(もしくは複合文化)

そんなフィルターを通して「君の名は」を見ると、日本っていいな。。って思ってくる。サブカルチャーに全力を注げられる国って、日本以外に見たことない

 

 

技術的な面での感動はもちろん、作中で強く感じたのは、日本・日本語の美しさ。

 新海誠監督は大学で国文学を専攻していただけあって、昔言葉・短歌が作中のキーワードになることも

 

この映画で重要なキーワードになるのが、「黄昏時」ということば

黄昏時は、昼でも夜でもない、日が沈んでいく時間のこと。

映画中にも何度か形を変えて出てくる。そしてこの「黄昏時(片割れ時)」が、ストーリー展開において非常に重要な意味を持ってくる。

もともとは「誰そ彼」という言葉であり、あたりが暗くなりはじめ、「あなたは誰ですか」、と聞く時間という意味。(君の名は・・・!)

 

この成り立ち

美しい。。。

 

作品を見終わって色々調べていくうちに、作中のキーワードに託されていた意味、その伏線が明らかになっていって、鳥肌が止まらなかった。。

 

(C) 2016「君の名は。」製作委員会

 

 

 

また、新海監督は2013年に「言の葉の庭」という映画を作成していて

この映画でも、ある短歌がキーワードになって物語が進んでいく。

 

www.youtube.com

 

冒頭で見知らぬ女性が主人公の男子高校生に、短歌を残していく

「鳴神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」

 

この短歌は、奈良時代万葉集から引用なんだけど、

男子高校生は全く何のことだかわからない様子

 

。。。物語の後半、紆余曲折を経て、男子高校生がこの歌に対する返歌を読む

「鳴神の 少し響みて 降らずとも 我は留まらむ 妹し留めば」

 

現代語訳は敢えて書かないでおくけど。。

万葉集は今から1000年以上に書かれたものだけど、当時の人も現代人も、同じような感覚を持っているんだなという事に気が付いて引用したらしい。さすが国文学専攻なだけあって、視点が面白いな

 

歌集としては、7,8世紀に纏められた万葉集は世界最古だそう

この後の時代に登場してくる紫式部清少納言の作品も、現代まで読み継がれている。

世界的に見ても、当時これ程発展した文学はほとんどなかったそうで、当時の日本文学のレベルの高さがうかがえる

 

 

 

ちょっとガラパゴス的なこの国の歴史が、この日本語の奥ゆかしさを生んだのかなって思う。

一歩踏み出したら外国という訳でもなく、完全に離島で他の文化の影響を受けない、という訳でもなく。絶妙な日本の地理的条件が、美しい日本・日本語を形成していったんだろう

 

 

 

 

少し切り口が変わるけど、スウェーデンに来てから強く思うことも

留学に来てから、他の国の言語を学ぶ機会も多くて、お互いの言葉を教え合うことも

大体友達同士で言語を教えるときって、結局、下ネタか罵倒用語に走ってる。笑

下ネタはまあ万国共通で、語彙に関してもそれほど差はない

 

問題は、罵倒用語に関して。

 

例えば、英語圏で罵倒用語の代表格と言ったら、「F*ck you」ですよね。

この単語、日本語に訳せますか?

 

これらのフレーズ、翻訳はできます。失せろ、とか。

ただ、「日本語」としては、訳せない。直訳したら、「あなたと性交する」だからね。

 

不思議と、中国語、スウェーデン語なんかは、このフレーズに相当することばはあるそう。日本語ではなんていうの?って聞かれると、相当するものがないことに気づく。

他にも英語・中国語なんかの罵倒用語は色々教わったけど、いざ日本語で教える番になると、ボキャブラリーがない。他の言語に比べて、罵倒用語が圧倒的に少ない。

 

ここでも、日本語って美しいなって感じた。もちろん他の言語を卑下しているわけではく、あくまでも事実として、日本語には罵倒用語が少ないということへの感想。

 

 

 

日本を離れて生活を始めてから今日で半年、ホームシックにはなってないけど、今まで気が付かなかった日本の良さに、心惹かれるようになった。

君の名は。」を観てから、完全にその傾向が加速してる、、

 

先人達が大切に受け継ぎ、形成してきた美しい日本語。映画を見て再発見できた。

日本人であることが、本当に誇りですな。

 

 

Sota